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2026.06.24
【内科外来からコラム②】舌下免疫療法について
こんにちは。院長の篠です。
今日は、舌下免疫療法についてご紹介します。
花粉症の方にとって、春の気持ちのよい晴れた日でも、「外に出るのがつらい」「鼻水やくしゃみが止まらない」と感じることは少なくありません。そんなつらい症状や、アレルギーを起こしやすい体質そのものの改善を目指す治療法が、「アレルギー免疫療法」です。
1)アレルギー免疫療法とは?
アレルギー免疫療法(AIT)は、「減感作療法」とも呼ばれ、アレルギーの原因となるアレルゲンを少量から繰り返し体内に取り入れることで、体を徐々にアレルゲンに慣らし、アレルギー反応を弱めていく治療法です。
花粉症やアレルギー性鼻炎、気管支喘息などに対して行われ、症状改善だけでなく、将来的な症状悪化や新たなアレルギー発症リスクを抑える効果も期待されています。
アレルギー免疫療法には、皮下免疫療法(注射)と舌下免疫療法(舌下投与)の2種類がありますが、当院ではご自宅で継続しやすい「舌下免疫療法」の処方を行っています。現在、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎に対して保険適用があります。
2)アレルギー免疫療法をうけるメリットは?
😊 アレルギー症状の軽減や体質改善が期待できます!
😊 アレルギー薬の使用量を減らせる可能性があります!
😊 治療をやめた後も効果が持続する可能性があります!
😊 将来的な喘息発症やほかのアレルゲンへの感作を抑制できる可能性があります!
3)治療の効果は?
スギ花粉症を対象とした研究では、治療期間が長いほど症状改善効果が高まることが報告されています。4年間継続した患者さんでは、3年で終了した患者さんよりも、症状や薬の使用量が良好であったとされています。
以下の図に示すように、JRQLQ Face Scale を用いた評価では、臨床試験で「寛解」に近い状態とされる Score 0〜1(症状がほとんど気にならない〜少し気になる程度)の患者さんの割合は、治療開始前の約20%から、舌下免疫療法を4年間継続後には約60%まで増加していました。
一方、「非常につらい(Score 4)」と回答した患者さんの割合は、約12%からほぼ0%まで減少しており、継続治療による症状改善効果が示されています。
4)治療に向いているのはどのような患者様ですか?
☘ スギ花粉やダニによるアレルギー性鼻炎で、毎年強い症状に悩まされている方
☘ 対症療法だけでは効果が不十分な方
☘ 長期的に症状を軽減させたいと考えている方
☘ 数年にわたり、毎日の服薬を継続できる意志がある方
舌下免疫療法はご自宅で継続できる治療ですが、一方で、約半数の患者さんが半年程度で治療を中断してしまうという報告もあります。
花粉の飛散していない時期には、症状が落ち着いているため、つい服用を忘れてしまいがちです。しかし、舌下免疫療法は「症状がない時期も継続すること」が大切な治療です。将来の症状軽減のために、「3〜5年間しっかり続ける」という気持ちで治療に取り組むことが重要です。
5)注意が必要なことは?
以下に当てはまる方は、舌下免疫療法を始められないまたは、始める前に医師と慎重に相談する必要があります。
- ・重症の気管支喘息でコントロール不良の方
- ・重症のアトピー性皮膚炎で皮膚症状が活動的な方
- ・妊娠中または妊娠の可能性がある方
- ・悪性腫瘍または自己免疫疾患の治療を受けている方
- ・一部の薬剤(β遮断薬、三環系抗うつ薬など)を投与されている方
- ・重度の心疾患や肺疾患、高血圧がある方
- ・過去に重症のアレルギー反応(アナフィラキシー)を経験した方
6)診察のながれを以下の図にお示しします。
スギとダニの両方にアレルギーがある場合は、一般的に2か月以上間隔をあけて、片方ずつ開始します。また、アレルゲンが多い時期には治療開始を避けたほうがよいため、
・スギ花粉症: 花粉飛散終了後の6〜9月頃の開始がおすすめ
・ダニアレルギー: 年間を通して開始可能
とされています。
当院では、月1回の定期受診で副作用の有無や治療効果を確認しながら、安心して治療を継続できるようサポートしています。
舌下免疫療法にご興味のある方は、ぜひ当院外来にてご相談ください。
【参考資料】
・日本アレルギー学会 「アレルゲン免疫療法の手引き 2025」
・湯田厚司, 服部玲子, 宮本由起子, 他.スギ花粉舌下免疫の多量飛散年効果と治療年数の影響.
アレルギー. 2018;67(8):1011-1022.
・鳥居薬品「トリーさんのアレルゲン免疫療法ナビ」
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