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2026.05.21
【透析室からのコラム②】透析で使われる水について
今日は、透析で使われる水についてお話ししたいと思います。
最近は豪雨や地震、渇水、水道管の老朽化による断水など、「水が当たり前に使えない」話題も増えました。普段は蛇口をひねれば出てくる水も、いざ止まると生活が一気に不便になります。
透析にとって水はまさに“命綱”です。
だからこそ、こうしたニュースを見るたびに、水の大切さを改めて感じます。
「いい水」と聞くと、多くの方は「きれいで、おいしい水」を思い浮かべるのではないでしょうか。旅先で水の味の違いに気づいたり、名水の話を耳にしたりしたことがあるかもしれません。実際、良い水がある場所に飲料や食品、医薬品などの工場が集まることもあります。
透析では、透析液を作製するのに大量の水を使います。例えば4時間の血液透析では、人が1日に飲む水の量のおよそ100倍にあたる水を使用します。
そのため、透析に使う水には、飲み水以上に厳密な水質管理が求められます。
しかも透析液は、透析膜越しに成分のやりとりが起きるため、透析液側も清浄さが必要となります。飲み水としては問題にならないほどの微量の成分や、細菌であっても、治療に影響が出ないような処理が必要です。
そのため透析では、水道水をそのまま使わず、専用の水処理装置でさらに浄化した「透析用水」を用います。中心となるのが逆浸透(RO:Reverse Osmosis)という仕組みで、膜を通して不純物をできるだけ取り除いた水を「RO水」と呼びます。
このRO水で透析液を作製し、体に必要な電解質の濃度に調整した透析液を作ります。
さらにオンラインHDFという治療では、無菌化した透析液「補充液」を血液に注入するため、より厳しい水質管理が求められます。「水の質」は、治療の見えにくい部分ですが、とても重要なポイントです。
ちなみにRO水はミネラル分まで除去するため、飲むと「味がしない」「おいしくない」と感じることがあります(飲用のために作られた水ではありません)。当院では水質検査や装置・配管の点検を定期的に行い、治療に使う水が適切に管理されていることを確認しています。こうした“見えない管理”が、患者さんの健康を守る大切な土台になっています。
透析治療では、水の質を守ることが安全な治療を支える重要な要素です。
透析室では日々このような水質管理に取り組んでいます。
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