ぴーちゃん通信

2019/7/1号 飯場智子先生(清瀬院・練馬院)インタビュー

毎月ピックアップしてスタッフを紹介していくこのコーナー。
今回は6月より入職の飯場智子(としこ)先生です。先生が力を入れてらっしゃる
「食」の分野、「生活の延長に介在する医療」についてお話していただきましたよ♪

 

【Q 飯場先生、今日はよろしくお願いします!まずは武蔵野総合クリニックへの入職のきっかけを教えてください】

もともと以前の職場では訪問診療・外来・透析を行っていたのですが、自宅から2時間ほどかかる遠い場所だったんです。
なので、同じ内容ができるところでもう少し近場はないかと探していたら、武蔵野総合クリニッがまさにぴったりだったんです。

 

【Q 順洋会の理念も共感していただけるポイントだったのでしょうか?】


そうですね。ただ単に病気を治して健康になったら終了、というのではなく、地域の安心の一助になれたらと思っています。
医者というよりは何かあったときにすぐに頼れる存在、つまり安心感ですよね。その安心感の土台作りができたらと考えています。

 

 

【Q 「すぐそばに。ずっとともに。」ですね!ではこのコーナーお馴染みの質問ですが、先生が医師を目指したきっかけはなんでしょうか?】

 

三重県鈴鹿市の本家では昔から農業や造林業を行っていて、伐採した木を使って家具屋を営んでいました。その作業の中でケガをする方々を目にすることもあり、私もなにかできたらなと思ったのがきっかけでした。

ただ、安心の土台作りをしたいというような考え方はそれこそ医師になって十年以上経ってから芽生えたものでした。
慢性疾患の患者さんを診るようになってから、いつかはお別れの時がやってきますがそれまでに私が患者さんに何ができるだろうかと考え、だんだんと「寄り添う医療もあるんだ!」と感じるようになったんです。

 

【Q 「寄り添う医療」とても素敵な言葉ですね。実際に先生はどのようなことをされてきたのでしょうか?】

 

「ナラティブ(物語)ケア」という言葉をご存知ですか?

患者様の人生をひとつの物語として捉え、自分もその物語の一部として患者様と向き合っています。
例えば訪問診療が終わった後に患者様のご家族が私にお茶を淹れてくれることがありますが、そうではなく、私が患者様にお茶を淹れて飲んでもらうということをやっていました。
患者様に茶器は信楽焼と備前焼でね、お茶請けはこのお菓子でね、と説明してからお茶を淹れます。その瞬間を写真や動画に収めて、患者様の物語の一コマとしてご家族やご自身に見てもらうんです。
ただ単に「はい今日は嚥下の訓練です」といって何かを飲み込むのではなく、まずは「食べること」という当たり前の行為に興味を持っていただく。医療として・訓練としてではなく、生活の延長に医師が少し介在する。
そうして寝たきりで最初は自分で湯飲みも持てなかった患者様が「こういうリハビリならいいな」と言ってご自身で湯飲みからお茶を飲めたときはやっぱり嬉しかったですし、「医師が安心感を与えることでここまでできる!」と思えましたね。

 

【Q 茶器やお菓子も先生ご自身で選ばれたのですね!「食」を介しての医療は2020年オープンのいずみでも専念していただけるのではないでしょうか】

 

そうですね。食というのは、人として接せる当たり前の行為ですし、この当たり前の積み重ねが人生ですよね。医療ありきの食事ではなく、食事に医療が寄り添うことでその人らしい生き方ができるのではないかと考えています。

先生の医療に対する熱い思いが伝わってきました!
ナラティブケアの一環として先生が撮影された写真をいくつか見せていただきましたが、まさに「劇的」といえる患者様の変化に、お話を聞いているこちらも元気と活力をもらえました!
いつか先生の淹れたお茶を飲んでみたいぴーちゃんでした♪